コラム

ひきこもり100万人時代到来!中高年のひきこもりの実態とは

不登校やひきこもりと言えば、小・中・高生の未成年に目が行きがちですが、内閣府が2019年3月に発表した40歳~64歳の「中高年のひきこもり」の数が日本の現状を表しているといえます。

40歳~64歳のひきこもりは61.3万人

今回内閣府が発表した中高年のひきこもりの人数は61.3万人です。15歳~39歳の若年者と言われる世代のひきこもりの人数は54.1万人。つまり若者より中高年のひきこもりの数が多い事になります。実は日本全体で中高年を含むひきこもりの調査を行ったのは初めてです。想像以上の数との指摘もありますが、ひきこもり支援の現場レベルでは薄々気がついていた事でもあります。実際に数字を見るとゾッとする数ですが・・・。

ひきこもり相談窓口は近くにある

厚生労働省が主体となり、地域のNPO法人に委託運営されている地域若者サポートステーション(通称:サポステ)が全国にあります。元々はひきこもりやニートと呼ばれる若者の就労支援を行う相談窓口で当初の対象年齢も15歳~34歳程度でした。しかし、実際にサポステに訪れる10代は少なく、むしろ対象年齢よりも上の世代が相談に来る場合が多い。サポステも対象年齢を34歳程度から39歳程度まで引き上げ、地方によってはさらに上の44歳程度まで対応しているケースもあります。

中高年のひきこもりの現実

サポステは厚生労働省が主体となった若者の就労支援であるが、ひきこもりや生活困窮者の支援を目的とした場合、できるだけ当事者の近くに窓口がある事が望ましい。そのため、サポステとは別に地方自治体が独自で生活再建、就労サポート窓口を開設するケースも増えている。その場合、若者に限らず高齢者も含めた相談窓口として機能しているケースも多いが、どこの窓口でも言える事は、若者より中高年が多いという事実なのです。

ひきこもりからの脱出は若いうちに

ある自治体から委託を受けているNPOの職員は、

「30歳を超えたひきこもりの就労支援が難しい」と言います。

「仮に15歳からひきこもりになった場合、人生の半分を家だけで過ごしている。この状況を変えるには相談窓口を増やすだけではなく、宿泊型の自立訓練施設が必要ですが、この施設が圧倒的に足りない。」という。

人生の半分がひきこもりという30代

30歳以上のひきこもりの場合、人生の半分以上をひきこもりの状態で過ごしているケースもあるという事実。そして、家に居れば、寝る場所、高齢者の親が作る食事、テレビやインターネットもある。何も困る事がないのです。しかも厄介な事に、ここまで長期間ひきこもりを続けていると、ひきこもり状態の罪の意識も薄くなると言います。

「中学生の不登校の場合、勉強が遅れるとか、進学できないとか、いや本当は学校に行きたい!という思いがあるんです。でも、不登校が長期化し本格的なひきこもりを長年続けると、その状況が当たり前になり、危機感が無くなってくるんです。」

たしかに、30歳以上のひきこもりの親の年齢はおよそ60歳~70歳といったところでしょう。親が働いて稼いだお金というよりは、親の年金で日々の暮らしを補っている状況です。本来であれば、自分自身で稼ぎ、家賃を払い、電気代を払い、食べ物も買うという当たり前の生活全てを親に依存している状況です。

相談に来るのはひきこもりの親でもいい

さらに、相談に来るのは高齢者の親。ひきこもりの当人を家から出して相談窓口に向かわせるのは大変な苦労が必要と言います。

実際には30歳以上のひきこもりの場合、短期間の職業訓練や就職先に斡旋だけでは自立が難しいケースもあるとの事。だからこそ、宿泊型の自立訓練施設が必要と言います。自立訓練施設では、家族と当人を引き離した上で、一人暮らしの模擬体験をしながら、当たり前の生活の必要性を肌で感じてもらい、一人で暮していくための就労に必要な支援を行なっているそうです。

ひきこもりの年齢が40歳以上になると、ほぼ自立は難しいそうです。

「極端な話、持ち家や土地があるなら、家賃収入で現在のひきこもりを維持してもらうか、収入が見込めないなら役所に相談してもらうしかありません。」

つまり、生活保護を受けてもらうしかないという。

高齢者の親はいずれいなくなります。当然ながら年金という収入減もなくなる。その時に、自分自身でどのように自立した生活を送れるようにするかが鍵となります。

年を重ねるとひきこもりから抜け出せない

若いうちは吸収する能力が高く、柔軟に物事も考える事ができます。しかし、普通の社会人でも次第に考えが固くなっていきます。ひきこもりでも同じです。年齢を重ねるにつれて、ひきこもりを辞める努力をしなくなります。

中高年でひきこもりを続けるある人は・・・

ネットやスマホから得た情報で、家族に対して政治や社会情勢、自身の意見を自信たっぷりと話すそうです。狭い空間の中で、自慢げに家族が知らないネットから得た情報を話し、自身の存在価値をアピールするさまは滑稽です。

高学歴でひきこもりを続けるある人は・・・

様々な就労支援や就職の斡旋を行っても、自分の学歴にふさわしい職業ではない。と断り続けたそうです・・・。

学歴社会ではありますが、中卒でも定年退職まで休まず働き、納税し続け、年金をもらって余生を送っている人とひきこもりの高学歴の人、どちらが立派なのでしょうか?

まずは相談を

こうなる前に、まずは地域の相談窓口に行きましょう。当人が動かないなら家族がまず動くしかありません。まずは最寄りのサポステや市区町村の窓口に相談する事をお勧めします。

ココロスイッチでは、各地(千葉市蘇我大田区蒲田新宿区大久保など)で不登校や引きこもりの相談会を毎月開催しています。参加費は無料ですので、不登校の相談、引きこもりの相談、フリースクールの選び方や、通信制高校への進学相談、子育ての悩みなど不登校や引きこもりの子を持つ保護者の方はぜひご参加下さい。