子供の発達が遅い場合、発達検査の受診を勧められる事があります。でも、周りの子供をよく観察しているわけでもない為、検査を勧められた場合驚く保護者も多いものです。しかし病気などの診断名がつくわけではなく、客観的なデータにより子供の特徴を把握した上で、今後の子育てに活かせる前向きなものです。
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小学校入学後に突然担任から知能検査を勧めらるケース
保育園や幼稚園を元気に過ごし、晴れて4月から小学校へ入学した我が子を見て子供の成長は速いなぁと感じている保護者の方は多い事でしょう。
小学校に入学後、はじめての保護者面談で担任から「子供の知能検査を受けてみませんか?」と言う言葉に驚く保護者の方もいます。そして知能検査という事は「私の子供に障害があると疑ってるの?」という目で先生を見る事もあるでしょう。まったくの寝耳に水状態でショックを覚えると思います。
先生はクラスの全員を見ている
しかし、生まれてから我が子だけを中心に見てきた保護者と違い、先生はクラス全員を見ています。「この子はのんびりやさんだな」とか、「数字が苦手かな」とか、「我慢できないのかな」など、先生は子供を観察し、今まで見てきた子や、クラスの他の子としっかりと見比べています。そこで客観的に、何かの可能性・疑いがあると思った場合に、その子供の将来を考え、言いたくなくても保護者に伝えているのです。我が子だけを見てきた親では分からない部分もしっかり見てくれていると前向きに考えるべきです。
実は保育園や幼稚園から分かっていた可能性も
実際に小学校入学前から、何らかの障害が疑われる場合は、保育園や幼稚園から入学する小学校に対して「申し伝え」をする場合もあります。保育園や幼稚園で明らかに障害が疑われる場合は、その時点で報告がある時もありますが、園での生活に支障がない場合は伝えられない事もあります。これは、それぞれの保育園、幼稚園の方針もありますので何とも言えません。小学校では、集団生活をしながら学習を行っていきますので、何かの障害が疑われるのであれば、それを考慮しながらひとり一人の子供が、学校生活をしっかりと過ごせるようにフォローしていくのです。そのために必要な検査が発達検査と考えましょう。
特別支援学級というしくみ
小学校と中学校では、特別支援学級があります。これは昔からあったものではなく、学校教育法が改正された2007年から始まった「特別支援教育」に基づいて各自治体の教育委員会が設置しているものです。この仕組みができてから、ひとり一人の特性に応じて学校生活や学習をきめ細やかにフォローする体制ができました。自治体により体制は異なりますが、どのような子供でも、しっかりと教育を受ける事ができる仕組みです。
私たちの普段の生活にも変化があります
子育てをしている世代、特に30代~50代の方は昔を思い出してください。ダウン症や、自閉症は昔から聞いた事はあっても、LD(学習障害)やADHD(注意欠陥/多動性障害)、アスペルガー、性同一性障害などは、最近になって普段の生活の中で耳にするようになってきた事かと思います。なぜ、このような言葉を耳にするようになったのでしょうか?医学の発展や法整備が進んだ事もあるでしょう。何よりも、昔に比べて障がい者を受け入れる社会になってきた事のあらわれです。
障害も多種多様
LDやADHDは一見普通に見えます。昼休みに校庭で友達と仲良く遊んでいる姿から、LDやADHDなどとは想像できない気が付きにくい障害でもありますが、当事者である親も子も障害を理解した上で社会生活を送る事ができれば、普段の生活の質が向上する事は間違いありません。
LD=学習障害は、全般的な知的発達に遅れは無くとも、聞く、話す、読む、書く、計算するなどの能力のうち特定の習得が困難(苦手)な状態です。
ADHD=注意欠陥/多動性障害は、年齢や発達に不釣り合いな注意力であったり、衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で社会的な活動に支障をきたす場合もある。
大人でも増えている知能検査
今、大人でも知能検査を受ける人が増えています。職場や知人、家族から指摘されたり、自分自身が「ちょっと人と違うかも」と思い知能検査を受ける大人が増えているのです。つまり、自分自身の特徴や個性を理解する事で、社会に適応しようとする前向きな捉え方です。
広がるインクルーシブ教育
障がいのある人と、障がいのない人が共に学び共生社会を実現するための考え方で、日本で特別支援教育ができた前年の2006年に国連で採択された障がい者の権利に関する条約で示されたものです。
これを、実際の日本の教育現場に落とし込んだものが「特別支援教育」と考えていいでしょう。日本の特別支援教育は、実際のインクルーシブ教育とはかけ離れているかもしれませんが、現実的に日本の学校システムの中で導入するにはこれがベターだったと言えます。この特別支援学級の導入により、小・中学校の義務教育において、障がいの有無にかかわらず合理的な配慮のもと地域の普通学級で学べる権利が得られたとも言えます。
特別支援学級があれば、何らかの障がいがあっても、小学校や中学校でほかの友達と同じように教育を受けることができます。実際には障がいの度合いによって、科目(国語や算数)によっては、集団授業について行けなかったりする場合もあります。その場合は、科目毎に特別支援学級で個別に授業を受ける事もできるのです。(地域によって体制は異なります)
個性と考え上手に付き合う
昔は、子の障害を言わない、子の障害を認めないという保護者の方もいた事でしょう。周りも「この子は何かちょっと違う」とか「きっと障害があるのかな」とか感じる事も昔はあったと思います。それが発達障害と分かっていれば、その子の特徴を理由にした、いじめや不登校などは未然に防げるようになります。
そして、障害といっても、どのような障害があるのか、どのように障害と向き合いながら社会生活を行うのかも含めて考える必要があります。「障害=個性」と前向きに考える事も必要です。LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)など障害という言葉がつく事で、後ろ向きにとらえてしまう事もあるでしょう。しかし、個性・特長と考えれば前向きに付き合う事ができるはずです。
知能検査を受けるには
就学児童であれば、学校や市町村の窓口に相談してみてください。また、近くに心療内科があればお医者さん以外にも臨床心理士の先生も在籍している場合もあるのでカウンセリングを受ける事もできるでしょう。年齢によって検査の種類も違いますが、親が一人で悩まない事が重要です。
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