コラム

不登校・引きこもり経験インタビュー~小・中不登校経験を持ち通信制高校に通いながらモデルの仕事をしていた10代~

不登校・引きこもり経験談インタビュー みちゃきさん編

-みちゃきさんは今21歳ですが、10代の時はモデル活動のほかアイドルを目指して色々活動されていて、普通の高校生とは違った10代を過ごされていたと思いますが、不登校や引きこもりの経験もお持ちだという事です。はじめて不登校になった時期はいつですか?

みちゃき はじめて不登校になったのは小学校1年の時ですね。東北地方の田舎で暮らしてたんですけど、不登校になったキッカケは1つじゃ無くて、例えば、宿題を忘れて学校で正座させられて、他の子は10分ぐらいなのに、元々内気で静かな性格だったからなのか分からないんですけど、私だけ1時間正座させられたりとかしていて、今考えても意味が分からないんですけど…。宿題してこない私も悪いんですけど。あとは、両親共働きだったので、小学校終わってから児童館に行ってたんですけど、上の学年の子からイジメにあって、そういう複合的な原因だったと思います。

-それで学校に行かなくなった?

みちゃき 学校に行きたくない思いはあったんですけど、親に言い出せなくて…。それで、家で吐くようになってきて、拒食と言うか、食べても吐く事を繰り返していたので、親がそれに気がついて病院で自家中毒って診断されて、少し入院してました。

-自家中毒(周期性嘔吐症)って精神的なストレスが原因でもありますよね?

みちゃき 病院で原因があるはずってなって、何か親に言えていない事があるんじゃないかってなって、そこで初めて小学校に行きたくない気持ちを両親に話したと思います。

-原因が分かって小学校の不登校は解決したんですか?

みちゃき 結局、環境を変える判断を親がしました。同じ地区ですけど引っ越して小学校2年生になる時に学校を変えました。

-小学校2年生からの学校生活は楽しかったですか?

みちゃき 小学校2年から6年生までは、楽しかったと思います。でも、小学校4年生ぐらいから太り始めて中学生でピークを迎えるんですけど、よく食べてました。何かしらのストレスがあったんだと思いますけど、食に頼ってたというか。そんな感じですね。

-中学校に入学してからまた不登校になったんですよね?

みちゃき 中1後半から中3冬まで不登校でした。中学の時のキッカケは、友達にトイレに呼び出されてイジメられて、周りの子にも無視されて。それで不登校になりました。

-不登校の時はどのように過ごしていたか。

みちゃき 家で寝てるか、漫画とか雑誌を見たりしている時が多かったです。高校は公立に行きたいと思っていたのですが、成績もどの科目も1か2で勉強ぜんぜんできなかったので、先生から全然中学に行ってないと内申点付けられないと言われて、最低限の出席日数は必要だからという事で、週2回ぐらいは朝の会だけ出るとか、保健室登校とかしていました。

みちゃき 学校に来ないのはダメだみたいなのが学校や先生にもあったと思うんですよね。で、母親が、何か病気じゃないのかって、診断書だせば学校の対応も違うんじゃないのかって、中2の時に、母親につれていかれて病院いったら、起立性調節障害って診断されました。

みちゃき 今も朝は苦手ではあるんですけど、私の場合、朝起きられないと言うよりは、学校に行く時間になると、親に起こされて一応目は覚めるんですけど、起き上がれないというか、起き上がるのが億劫で、起き上がっても怠いというか…。でも先生に「それは、なまけ病だ」って言われて、診断書だしても当時はなぜか学校に認められなくて、出席日数も朝学校に行かないとダメで…辛かったですね。今は学校に行かなくても、フリースクールとかでも出席扱いにできるって聞いたのでいいですよね。

不登校・引きこもり相談会の場でインタビューに答えるみちゃきさん

-中学校生活の大部分は不登校だったり保健室登校してたんですね。中学校は全然楽しめなかった?

みちゃき そうですね…。学生生活楽しみたかったですよ。でも楽しめなかった。週2ぐらいで保健室登校しているので、運動会の練習とか一応出た時もあったんですけど、参加しても仲間外れにされるのが嫌だった。ムカデレースの練習の時も、どうせ本番でいないんだからって、一番後ろのロープ持ちをやらされてました。

-保健室では先生と会話していた?

みちゃき はじめの先生は、気にかけてよく話かけてくれました。途中で保健室の先生も代わって、その先生はあまり話しかけてこなくて・・・。でも、当時の私は、話かけてもらうより、ほっといてほしいと思ってたので2人目の先生のほうが精神的に楽だったかな(笑

-結局のところ中学校での不登校は解決はしなかったんですか?

みちゃき 実は、中3の終わりになって親の仕事の関係で転校する事になったんですけど、転校する直前に不登校は一応解決しました。

-何がキッカケで不登校が解決したのですか?

みちゃき 小学校4年生ぐらいから過食気味で中学の時は太ってたんですけど、中学のイジメも嫌でしたけど、太ってる自分も嫌だったんですね。中学校に全身鏡とかあるんですけど、鏡に映る自分もイヤだった。だから人に会うとか、外に出るのが嫌だった。
不登校の時に、痩せようと思って…、痩せ方としては間違ってると思うので、マネしてほしくないんですけど、あまり食事をしないで4ヶ月ぐらいで38kg痩せました(笑。

-4ヶ月で38kgって異常な痩せ方じゃないですか?

みちゃき はい。だからマネしてほしくないんですけど。でも痩せていくと、ジャージとか制服とかブカブカになっていくので、痩せていく事が実感できて、痩せる事にハマっていったというか…。それで、急激に痩せたので親もびっくりして、背中に湿疹みたいなのが出て、栄養失調だったんですけど、病気じゃないかって(笑。病院に連れていかれて、摂食障害って診断されました。そこでドクターストップでダイエットは終了しました。

-急激に痩せた事にまわりの反応はどうでした?

みちゃき まわりの心配と注目の目が集まって「あいつ痩せた」とか「病的だ!」とかありましたね。でも、注目されるのは嫌じゃなかったです。太っているのが嫌だったので、痩せた事で自信がついたというか、人前に出るのも嫌ではなくなって行きました。

痩せた事がキッカケで不登校から脱したみきゃきさん

-痩せたのがキッカケで不登校も終わった?

みちゃき 最終的なキッカケは別にあって、痩せた事がキッカケでぼちぼち学校に行くようにはなったんですけど、元々のイジメの原因。トイレに呼び出した子が、私の後ろの席だったんですね。朝の会の時に、私に話しかけてきて「色々ごめんね」って言ってきたんです。たぶんそれが不登校が終わった瞬間かもしれません。でも、ケンカしてた子が話しかけてくれたのも、痩せた事がキッカケでもあったと思うんですよね。

-もし痩せてなかったら、そのまま引きこもってた可能性はありますか?

みちゃき ありますね。太っている自分が本当に嫌で、痩せた事で視界が開けたというか、学校と言うよりは人の目が嫌で、だから基本的に家から出なかったので…。

-中3の終わりに転校して高校は進学した?

みちゃき 高校は公立受験したんですけど落ちて、私立の高校に行きました。入学してから3ヶ月ぐらいで、同級生にトイレに呼び出されて…。あっ、コレ中学の時と同じだって(笑。面倒くさい、もうイイやってなって高校も行かなくなって…。でも、高校って通わないと退学になるじゃないですか。一応高校は卒業したくて、通ってた私立の高校に通信制もあったので、両親に通信制に転籍したいって言ったんですけど、はじめは反対されて、父親に関しては「何言ってんだ」って会話にもならなくて…。

-両親の通信制高校に対する印象が悪かったんですか?

みちゃき 両親とも古い人なので、親のイメージで通信制高校は、どうしようもない人が行く所って決めつけていて、でも母親が色々調べてくれて、あなたに合っているなら通信制高校でもいいんじゃないって言ってくれました。今では、通信制高校で良かったねって言ってくれます。

-通信制高校に在籍していた高校時代は楽しかった?

みちゃき 高校1年の前半は、通信制高校に転籍したりとか、通信制高校の勉強に慣れるまであっという間に過ぎていったんですけど、通信制だから毎日通学するわけじゃなくて、日中は暇で、雑誌とかネットとか見て過ごしてたんですけど。痩せた事もあって、モデルとかいいなと思い始めて高1の終わりにオーディションに自分で応募してみたんです。

-その後は学業とモデル活動が中心になっていったんですか?

みちゃき そうですね。週2ぐらいで東京に行ってモデル活動したり、ライブに出たりっていうのを卒業まで繰り返していました。

通信制高校に通いながらアイドル活動をしていた時のみちゃきさん

-でもモデルとかライブ活動って人前に出るものですよね。プレッシャーはなかった?

みちゃき 確かに人前に出るのが苦手だったので初めは緊張したんですけど、ライブも単独ライブじゃないので、持ち時間で10分とか15分だったし、やらなきゃ終わらないので(笑。それに、 学校行きたくない、勉強したくないっていう思いが強くて(笑。ライブに出たり、イベントやったりしているのが楽しかったです。それに、今も付き合いのある学生時代の友達はいないですけど、東京で活動していた時のアイドルとかやってた子とか、今でもよく遊びます。

-東京での活動に両親は反対しなかった?

みちゃき 両親は、引きこもりがちな私に対して、もっと外に出ろって言ってて20歳まで好きにしていいって言われてました。なので反対はなかったですね。

-10代後半はかなり充実した日々を送っていたんですね。

みちゃき そうですね、M-1グランプリにも出でナイスアマチュア賞を受賞した事がキッカケで、あらびき団にも出演しましたし、本当に楽しかったですね。

-でも今は人前に出る仕事は辞めた?

みちゃき 自分の性格は内気と思っているので、人前に出るのも、人付き合いもそれほど得意じゃない自分がいるので、なんか疲れちゃったというのがあって、あんまり疲れるとストレスに弱い自分がダメになるし、そんな理由で20歳をキッカケにモデルとかアイドルとかそういう活動は辞めました。でも通信制高校の時から20歳まで、同じ時期にLINEスタンプとかデザインの仕事も同時にやらせてもらって、イラストレーターとかフォトショップとかも覚えたので、これを仕事にしてみようと思ったんです。

不登校や引きこもりの10代を過ごし今はデザインの仕事をしている

-デザインの会社を作ったんですよね?

みちゃき ただ格好つけたかったのもあるんですけど(笑。法人を作ってデザインや動画編集の仕事をしています。社員はいませんけど。私一人で、出来る範囲でやってます。

-大学や専門学校行ったり、就職する事は考えなかった?

みちゃき 元々勉強嫌いなので、進学するつもりはなかったです。実は、20歳の時に保育園に保育補助の仕事でパートですけど、フルタイムで働いてみたんです。でも、やっぱり続かなくて(笑。朝早いと、しんどいって分かっていたので、11時出勤にしてもらってたんですけど、それでもしんどくて。

-保育園の仕事は続かなかった?

みちゃき 子供は可愛いから楽しいと思える部分もあったんですけど、仕事に行かなきゃいけないっていうプレッシャーがあって、決まった時間の拘束とかも考えるとプレッシャーで、週5日働いて金曜日の夜に「今週終わったー」って喜んで、土曜日には、また明日終われば仕事しなきゃいけないって泣いてましたね(笑。結局2ヶ月ぐらいで辞めました。

-精神的に弱い所は今でもあると?

みちゃき 自分の性格とかストレスに弱い事とかは理解はしていて、普通の働き方は無理だろうなーって思ってて、今も病院に行けば、何か診断されるような気がするんですけど、単発の仕事とかはいいんですけど、毎日同じ事ってなるとしんどくて、気の持ちようもあると思いますけど、自分のペースでできる今の仕事が会っているかなって思います。

-今の自分から中学生時代の自分に会えるとしたら、何を伝えますか?

みちゃき とにかく痩せなさい(笑。痩せれば変わるから(笑。あと、当時の自分はノリが悪かった。友達の変顔にも笑えなかった。あと変にプライドが高くて、でもハキハキしているわけじゃなくて、昔の自分と友達になって下さいって言われても嫌ですね(笑

-自分にも嫌われる理由があった?

みちゃき そうかもしれないですね。なんか、ウジウジしている子といても楽しくないじゃないですか。単純になんか、はっちゃけられなかったというか、協調性が無かったのか。今は、物事をハッキリ言えるようになったし、自分だけじゃなくて、相手がどう思うのかなってようやく考えれるようになったかな…。だから言える事かもしれないけど、当時の自分には分からないですよね。

みちゃき イジメられていると「自分だけがなんで…」とか悲観的になるんですけど、開き直ってみるとそんな事はなくて、イジメられる理由は自分にもあったりとかすると思うんですよね。100対0で、相手が悪いイジメって、まだ社会性が身についてない小学生はあると思うんですけど、中学、高校生の場合100対0で相手が完全に悪いって無いと思うんですよね。自分がウジウジしてるだったりとか、自分を見つめ直してみると何かあると思うんですよね。

-中高生の不登校や引きこもりで悩んでいる子に伝えるとすれば

みちゃき まず、何が原因なのか自分なりに明確にする事から初めて、私のように太っているとかが原因ならそれを変えればいいし、自分にはどうしようもない事(友達とか他者)が原因なら直接話をするか、大人を頼るしかないと思います。それでも解決しないなら、逃げていいと思います。環境を無理やり変える事で悪い事が無くなるなら、わざわざその場に留まる必要はないと思います。

みちゃき ただ、逃げる時は「自分がここから逃げた」っていう思いが心の中にずっと残ると思うんですよね。だから、話ができるなら話をしてみる、逃げるというか環境を変えたい時は誰かに相談してみたほうが良いと思います。

親と子の会話添削サービス ココロのノートを持つみちゃきさん

-ありがとうございました。

ココロスイッチでは、各地(千葉市蘇我大田区蒲田新宿区大久保など)で不登校や引きこもりの相談会を毎月開催しています。参加費は無料ですので、不登校の相談、引きこもりの相談、フリースクールの選び方や、通信制高校への進学相談、子育ての悩みなど不登校や引きこもりの子を持つ保護者の方はぜひご参加下さい。