コラム

子供の体力が落ちた!スポーツが子育てに必要な理由

子供の体力が低下している!スポーツが子育てに必要な理由

2019年のラグビーワールドカップ日本大会は、「過去最高のラグビーW杯」と賞賛される程、ラグビーを知らない国民も釘付けになりました。

2020年の東京オリンピックは開催都市の東京だけでなく、マラソンの札幌や、ゴルフ、バスケットボールの埼玉県、レスリングやサーフィン、フェンシングの千葉県、自転車競技のマウンテンバイクやトラックが行われる静岡県の伊豆、ロードレースの富士スピードウェイ(静岡)、野球・ソフトボールの福島県、茨城県や宮城県ではサッカーが行われます。

これだけのスポーツイベントが開催されている令和の時代に、小学生の体力や運動能力が調査開始以降、過去最低になっているという調査結果をスポーツ庁が発表しました。

2019年度にスポーツ庁が発表した小学5年生(調査対象約105万人)と、中学2年生(調査対象約96万人)の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」では、男女ともに50メートル走、立ち幅跳びなど実施種目の成績を点数化した「体力合計点」が大幅に低下している事が分かりました。特に、男子が顕著で、小学校5年の男子児童は過去最低。中学2年の男子生徒も過去5年で最低となっています。

スポーツ嫌いが増えたのか

では、日本ではスポーツ嫌いな子供が増えたのでしょうか?そうとは言い切れません。むしろ特定のスポーツのファンになる人が増えているのです。

プロ野球の観客動員数は増え続け2019年には史上最多の2653万6962人が来場しています。さらに家族連れファンの増加も顕著なのです。サッカーでも、J1の2018年全306試合の総入場者数は増加し583万3538人が観戦しています。

日本のプロ野球の観客数は増加傾向にある

自宅でのスポーツ観戦にも変化があります。パソコンやスマートフォンで、スポーツのライブ観戦ができるネットスポーツ配信のDAZN(ダゾーン)が、2016年に日本でサービスを開始してから1年で会員数が100万人を突破しています。

このように、日本人がスポーツに触れる機会は増えているのです。

学校以外の運動機会の減少

40代~50代の子育て世代の保護者は子供時代を思い出してみて下さい。地域にもよりますが、小学校の集団登校がない地域では、学校が終われば走って帰り、毎日のように近所の道端や公園でサッカーや鬼ごっこなどで遊んでいたのではないでしょうか?学校の授業以外でも自然と運動する機会は、生活の中で十分にあったと言えます。

子供が遊んだり運動したりする場所が少なくなっている

しかし子供の安全面や、それに伴う地域のルール強化などにより、現代では道路で遊ぶ子供は減り、ボール遊びができない公園も増え、結果として今の子供達は学校以外で運動する機会が減っているのが現実です。勿論、子供の安全や地域の安全を考えると今の状況がベストである事には変わりません。言い換えれば、子供の安全と引き換えに「子供主体の地域の遊び場が減った」という事になるのです。

スマートフォンやゲームに費やす時間の増加

それでは、子供達の遊び(運動)の時間はどこに行ったのでしょうか?ある子供は、学習塾や習い事の時間に変わっている事でしょう。また、ある子供は、ゲームやスマートフォン、タブレットを用いた動画視聴やSNSなどに時間を費やしている事が多くなっています。

下記グラフは、総務省が毎年発表している情報通信白書のデータです。40代~50代の親世代と10代~20代ではテレビやネットなどメディアとの関わり方と、それに費やす時間に違いがある事が分かります。

テレビ、インターネットなどのメディアの年代別利用時間

子供と運動する機会を作る事が必要

運動機会の減少理由についてスポーツ庁が2019年に成人を対象に調査をしています。男女ともに、子育て世代の50代以下では「仕事や家事が忙しいから」という理由が約半数を締めています。

学校以外で子供が遊びを通じて自主的に運動をする場が減っているのであれば、親が率先して運動やスポーツを楽しみ、家庭で親と子が運動できる機会を作る事が重要です。

親子で運動をしてスポーツを楽しむ

日々、様々な体験を通じて心と体が成長していく子供にとって、スポーツから得られるコミュニケーション能力は計り知れません。

スポーツは子供の自己肯定感を高める

・仲間との会話
・チームを盛り上げる
・仲間を鼓舞する気持ち

スポーツは、決して運動能力が高い人のものではありません。スポーツを通して、意思の疎通を張り、仲間と笑い、学習し、時には涙を流す事で子供のコミュニケーション能力は飛躍的に向上します。そして、スポーツで得られる多幸感は、子供の自己肯定感を高めて行く事になります。

ドイツ生まれのバルシューレに注目

バルシューレは、幼児から小学生までが主な対象のボール遊びです。近年日本でもバルシューレを取り入れる教育機関が増えています。バルシューレが注目される理由は、運動能力の高い子供だけでなく、運動が苦手、運動をこれから始める子供のスポーツの入口であるという事。

保育園でもバルシューレが導入されている千葉市蘇我の保育園では運動教育の一環としてバルシューレを取り入れている。

学校で「教科書を使い学習する以前に読み書きを覚える事」と一緒で、バルシューレでは「スポーツを始める前に体の動かし方を知る」事からはじまり、120種類を越えるボールゲームを通して様々な体の動きを体験する「運動教育」という位置づけです。

バルシューレを楽しむ子供達千葉市のNPO法人セカンドスクール蘇我では地域の子供達向けにバルシューレ教室を開いている

バルシューレでは技術的な指導は行いません。子供達の自由な発想や工夫を大切にし、「好き」「得意」のきっかけを作り、子供達自身で考える時間を与える事で、コミュニケーション能力を培っていきます。

バルシューレを親子で体験している様子NPO法人セカンドスクール蘇我の北條さんは「バルシューレで子供たち自身に小さな「できた」をたくさん経験させる事が重要」と話す。

子供の運動の機会が減少している現代だからこそ、学校だけに頼らず、バルシューレなどのスポーツ教育を家庭や地域で進めて行く事が求められているのではないでしょうか。

バルシューレ教室を開催している千葉市蘇我のセカンドスクール蘇我の連絡先は(TEL:043-312-2357)ホームページ:http://freekizuna.wp.xdomain.jp/

バルシューレの公式サイトはこちら