不登校や引きこもりの子供の多くは、夜型になってしまう傾向にあります。原因はそれぞれありますが、学校に行かない(学校に行きたくない)と決心した時に、朝時間通りに起きる事を辞める事も原因ではありますが、それだけではありません。
家族からの朝の圧力
そもそも、学校に行きたくないという事は、朝になって学校に行く時間帯は子供にとっては、ものすごくストレスのかかる時間になるという事です。
場合によっては家族から
「早く起きなさい」
「学校に行くの?行かないの?」
「いつまで休んでいるの?」
などなど・・・
学校に行ってほしいと思う家族の気持ちが子供にとっては圧力となり、ただでさえ不登校で精神的に不安定になっている状態に追い打ちをかけるようなストレスが毎朝のようにやってきます。学校に行きたくない子供にとって朝は一日の中で最も嫌な時間になってしまうのです。親であれば「言った事あるかも…」と思われた方も大勢いると思います。
しかし、子供にとって朝の魔の時間にもリミットがあります。
長期的な休みを保護者と学校が話していれば別ですが、不登校が始まった当初は、殆どの保護者は登校前には学校に休む事を連絡する事でしょう。
子供にとっては、親が学校に休む事を連絡するまでが嫌な時間。この時間を乗り越えれば安心できる時間になります。
親からすれば
「学校に行ってほしい」
「無断で休む事はできない…」
「学校に行くのか、行かないのか…どっちなの?」
「行かないなら学校に連絡しなければならない」
「自分の子供が学校に行かない負い目」
「できる事なら学校に休む事を連絡したくない」
など色々な気持ちがあるはずです。
人は誰でも他人から良く思われたいと思うものです。子供よりも大人の方がその傾向が強い事でしょう。子供の不登校が長くなると、子供の事も気にかけながらも学校に行く事ができない子供の親としての不甲斐なさと、学校とコンタクトをとらなければいけない親としての惨めさというような気持ちを少なからず感じる事が多いと思います。
しかし、親が感じる「他人からの評価を気にする気持ち」が、朝になると不登校の子供に対して強烈なインパクトになる事を理解する必要があります。
学校に行く事よりも、今学校に行きたくない不登校の子供の気持ちを考え、家庭でできる事を考えるべきです。毎朝のように「親が義務のように学校に行かせる為の声がけ」をしていると、子供はストレスから逃れる為に本能的に朝起きる事を辞めてしまう事でしょう。
高校生の場合は特に注意
特に高校生の場合は注意が必要です。不登校が長期になると親は留年を気にするようになります。親は「今の子供の状態よりも、留年のほうに気が行きがち」になるのです。その為、家庭内でも親は留年を避ける為に、知らず知らずのうちに子供に圧力をかける事が多いのです。
起立性調節障害を疑う
朝起きられない理由の1つに中学生から多くなる「起立性調節障害」があります。
起立性調節障害についてはこちら(中高生になりやすい起立性調節障害とは)の記事をご覧ください。
夜型になる原因は何かを考えよう
不登校や引きこもりの子供の殆どは、日中を家の中で過ごします。共働き世帯が増え、三世代の同居家族が減少した現代では、日中を一人で過ごす事もあるでしょう。
学校とはそもそもストレス社会の縮図でもあります。集団生活の中で学習はもちろん、友達や先生などの大人との関わりを持ち、時には叱られ、喧嘩もしながら経験を重ねていく場でもあります。そのような集団生活の場で少なからずストレスを感じながら成長していくものです。
このように、普通に学校に行っていれば、集団生活の中で、思考もフル回転し、体力も使い疲れるのが普通です。朝決まった時間に起きて学校に行き、日中は集団生活で揉まれ、夜は疲れて寝る。これが子供の生活リズムです。しかし、日中を1人で家の中で過ごす子供にはそれがありません。不登校の子供がずっと自宅にいると集団生活でのストレスを受ける事がありません。つまり学校に行っている子供に比べて、脳も体も疲れる事がないのです。疲れないという事は夜も活動的になれるという事になります。これは夜型になってしまう原因の1つです。夜更かしを叱りつけるのではなく、不登校の時に日中の過ごし方も家族でよく考える必要があります。
家庭は本来、大人でも子供でもリラックスできる場のはずです。学校に復学させる事を急ぐよりも、不登校やひきこもりの子供に寄り添い、家庭での過ごし方を考える事も大切な事ではないでしょうか。
ココロスイッチでは、各地(千葉市蘇我、大田区蒲田、渋谷区・新宿区など)で不登校や引きこもりの相談会を毎月開催しています。参加費は無料ですので、不登校の相談、引きこもりの相談、フリースクールの選び方や、通信制高校への進学相談、子育ての悩みなど不登校や引きこもりの子を持つ保護者の方はぜひご参加下さい。