不登校経験談

中学3年から突然不登校になった息子。ひきこもり生活を続け20歳になりました。

不登校・ひきこもり経験談

我が家では、息子が不登校でした。

中学校三年のゴールデンウィーク明け頃から、学校に行くのを
しぶるようになりました。はじめは車で送っていったりと
なんとか登校させましたが、結局学校に行けなくなってしまいました。

学級担任の先生(男性)が理解ある先生でした。
ご自身のお子さんが同時期に不登校で悩んでいらしたので
我が家の悩みや不登校についての考え方等について、アドバイスを頂きました。
おかげで、こちらの気持ちや状況が、それほどひどくならなかったように思います。

とはいえ、親としてはどうしても
なぜ学校に行かないのか、あるいは行けないのか
必死で不登校の原因や答えを見つけようとします。

私はその答えを探すために、不登校や教育関係の本を読んだり
スクールカウンセラーや精神科に相談したりしました。
不登校の子供が多いフリースクールを見学したこともあります。
参考になることは多くありましたが、結局わが子の状態に当てはまる
はっきりした答えは、見つけられませんでした。

ちなみに、私が受けたカウンセリングについて、私には疑問がありました。
それは、カウンセラーと子供との会話(カウンセリング)について
親を含めて誰にも内容を口外しないという方針でした。
もちろん、その意図は十分理解できます。
子供との信頼関係は絶対という立場も必要でしょう。

しかし、子供が自発的にカウンセリングを受けるならともかく
親が連れてきた場合、親はすがる思いです。
思春期の問題において、親子関係、家族関係が強く関係していることは非常に多い訳です。
少なくとも私は、もし親子関係に端を発しているなら、
自分は非を認め、子供への接し方、考え方を改めるつもりでした。

それが、守秘義務ということで情報を与えてもらえなければ、
こちらとしては改めようもないし、対応もどうすればよいのか、ヒントもないのです。
親が変わらなければならないのなら、それを示唆して頂けないものかと感じました。

さて、当時の私は本当に途方に暮れ、混乱していました。
不登校になる原因と答えがまったく見つからないのです。
が、つきつめれば私の気持ちはただ一つ。
「何故うちの子は学校に行くという、ごく当たり前のことができないのだろう」でした。

多くの大人がごく普通に捉えている「学校は普通に行ける場所」という感覚は
私にもごく自然に、またその分強固にありました。
他のお子さんが学校で普通に過ごせていることが、
たまらなくうらやましく感じられたものです。

不登校の原因がいじめであれば、ある意味わかりやすいと思います。
もちろんいじめは深刻な状況で、私は、いじめは支配のための心理操作、人格破壊と
認識しています。当時の息子にいじめはなかったか随分心配し、もしそうなら対応を
どうするかとそれについても、心を悩ませました。

結果として、息子にいじめはなかったと、私は認識しました。
そうすると、一体不登校の原因はなんなのか。

息子は「集団生活が嫌だった。」
「皆が同じことを一斉にするのが、耐えられない」と言いました。

私には息子が何を言っているのかわかりませんでした。

なぜなら、幼稚園、小学校と集団生活をしてきて
何も問題があるようには見えなかったからです。

しかし息子は「縛られるのが嫌。自由でいたい。」というばかりでした。

ここでも私は途方に暮れました。

自由はわかりますが、社会生活において、完全な自由などありえません。
例えば、どれほど自由、自主性を重んじる学校だとしても、
安全の確保や他者との関わりがある限り、何かしらの規則は必要です。
そういう、当たり前なことに反発する息子にも、呆然としていました。
これは息子の「ワガママ」なのか、それとも私が「甘やかしすぎた」のだろうか?

実は我が家は、父親が病死した母子家庭です。
父親不在が、影響しているのだろうかとも悩みました。が、仮に父親が生きていたとしても
性格から、わが子の不登校を、全く理解しようとしないだろうと思いました。
特に男の子の場合、容赦なく攻め立てる予想がありました。
母親の私ですら、理解することも容認することも困難だったのですから。

本当に、不登校という状況は私の価値観を根底から覆しました。
学校時代というのは、その時だけのものではありません。
現代において、人生で欠かすことができない環境なのです。
少しづつ風穴が開きつつあっても、まだまだ少数派の言い分です。
ですので、「学校に通う」というのは、あまりにも当たり前の事なのです。

この認識を180度変えるには、時間がかかりました。
というか、長い時間の後、なんとなく変わっていった感覚です。

息子は今年20歳になります。
中学3年に始まった息子の不登校から、一般的な10代の過ごし方はできませんでした。
高校受験はできず、家にひきこもる毎日でしたから、通信制高校に入学をしました。
しかし、日々の過ごし方はひきこもりの生活とあまり状況が変わりませんでした。
その通信制高校も中退しました。

息子は、高等学校卒業程度認定試験を受け、大学受験を目指しています。

最近わかったことは、息子は敏感な性質を有しており
本当に集団や縛りつけが辛いということでした。

これらの症状は、今後生きていく上で
息子自身が向き合わなければならない課題です。
大学に行ってもその先に就職が待っています。
集団生活が辛いままだと働く事さえできません。

順当にいけば、私だって息子より先に死ぬんです。
私が息子の世話を一生することはできません。
不登校からはじまった問題は、まだ解決していません。

今現在、不登校に悩むお子さんや親御さん、残念ながら、我が家のケースは
参考にならないかもしれません。ただ、家族が混乱した状況が、具体的に知って頂ければ
共感して頂き、心が軽くなれればと願います。

ココロスイッチでは、各地(千葉市蘇我大田区蒲田新宿区大久保など)で不登校や引きこもりの相談会を毎月開催しています。参加費は無料ですので、不登校の相談、引きこもりの相談、フリースクールの選び方や、通信制高校への進学相談、子育ての悩みなど不登校や引きこもりの子を持つ保護者の方はぜひご参加下さい。