コラム

不登校・ひきこもり経験者の通信制高校選び

不登校・ひきこもりからの通信制高校の選び方

今、不登校・ひきこもりの学生が増えた事や学びの多様化により、通信制高校への進学を選ぶ子供や全日制高校から通信制高校への転校が増加しています。

全日制高校と通信制高校の違いはなに?

通信制高校は、全日制高校と定時制高校と同様に昔(戦後)から存在しています。しかし、「全日制や定時制」と「通信制高校」では仕組みや学び方が大きく違います。

全日制高校と定時制高校は、クラスに配属され、学校に毎日通い、科目毎の先生から集団授業を受けながら高校卒業に必要な単位を修得するのに対し、通信制高校は主に、与えられた教科書を参考にしながら自分自身でレポート課題と言われる高校から提供された問題を解く事で単位習得を目指します。

学年制と単位制の違い
高校における学年制と単位制の違い
高校の卒業条件のキホンは同じ

全日制高校と通信制高校では、学び方の違いや、学年制や単位制といった違いはありますが高校を卒業する基本的な条件は同じです。卒業するための大きな条件は①高校在籍3年以上。②74単位以上の修得が義務付けられています。

卒業条件の基本は、全日制でも通信制でも同じ
通信制高校の卒業条件
通信制高校の学習スタイル

通信制高校の基本的な学習方法は、自分自身で学習し通信制高校が定めた提出期限までにレポート課題を提出する事からはじまります。レポート課題とは小テストのようなもので、通信制高校の場合、穴埋め式の問題がほとんどです。生徒は、教科書を見ながらレポートを進めていきます。

通信制高校のレポート課題

その年度に履修する科目によって、また通信制高校によって違いはありますが、レポート課題は年間少なくとも50枚以上はあります。

なつちゃん
なつちゃん
レポート課題って結構枚数あるのね…。できるかなぁ?
あきちゃん
あきちゃん
毎日少しずつやれば大丈夫! 普通の高校に毎日通うよりずーっと楽だよ!
遅刻や早退もない通信制高校

全日制高校とちがい、通信教育が基本の通信制高校は遅刻や早退もありません。あくまで自分のペースで高校卒業を目指す事ができます。3年間で卒業を目指す生徒がほとんどですが、あえて4年、5年かけて卒業する生徒もいます。(高校により最大で在籍できる期間が異なります。最大で6年前後が多い)特に、うつ病や起立性調節障害といった場合、朝が辛く起きられないケースもあると思います。通信制高校の場合、本人の状況を再優先しながら高校卒業を目指せるメリットがあります。

通信制高校で単位を修得するためには
通信制高校はレポート学習だけではありません

通信制高校の場合、レポート課題をこなすだけでは、卒業に必要な単位を修得する事はできません。レポート以外にもスクーリングという授業に参加し、単位認定テストを受けなければなりません。このスクーリングは通常年間で10日以上、多い場合は20日ほど参加する必要がありますが、スクーリングへの出席負担を軽減する目的で最大8割を映像授業で補っている通信制高校がほとんどです。

なつちゃん
なつちゃん
レポートの提出だけじゃ卒業できないのね?スクーリングって、知らない人と一緒に授業受けるって事?気が重いなぁ…
あきちゃん
あきちゃん
ほとんどの通信制高校はスクーリングの出席日数を軽減できる映像授業も取り入れているから必要最低限のスクーリング出席で大丈夫だよ。1日も出ないってのは無理だけどね!
実質的なスクーリングは年数日程度

インターネット配信の映像授業でスクーリングの最大8割を補っている通信制高校がほとんどですが、残りの2割、つまり年間で数日はスクーリングへ参加する必要があります。このスクーリングは各通信制高校の特徴がよくあらわれます。通信制高校を選ぶ際にも、スクーリングがどのような形式で行われているかしっかりと確認しましょう。

スクーリングはいつ?どこで行うのか?

スクーリングの実施場所は通信制高校によって異なります。集中スクーリングと言って4日~1週間程度にまとめて実施する通信制高校がほとんどです。しかし、通信制高校に進学する生徒からすれば、それがどこで、誰と行うのか気になると思います。特に不登校経験者やひきこもり経験者の中でも、周りとのコミュニケーションを苦手とする子供も多いと思います。そのような子供の場合、例えば遠い本校で、3泊4日の集中スクーリングを知らない生徒と一緒に過ごす事に抵抗があると思います。

通信制高校によって違う!スクーリングの場所
通信制高校のスクーリング

普通に考えれば、遠い場所に宿泊をともなうスクーリングに出かけるよりも近くの場所で日帰りで参加できたほうが良いと考える生徒や保護者が多いと思います。コミュニケーションを苦手とする子供にとって数泊も会った事もない生徒達と共に行動する事はものすごい精神的なストレスとなります。特に通信制高校への進学をきっかけに、不登校やひきこもりから抜け出しつつある子供にとっては尚更です。私たちがカウンセリングを行ってきた中で、どうしても宿泊型のスクーリングに参加できない。参加しても途中で帰ってきてしまったという話を聞く事があります。コミュニケーションを苦手とする場合は、できる限り宿泊を伴わないスクーリングを行う通信制高校を選ぶのがベストと言えます。

なつちゃん
なつちゃん
私なんかは3泊4日程度なら沖縄の本校でスクーリングしながら南国を満喫したいぁ!
はるちゃん
はるちゃん
今の状態の私は絶対無理!県内でスクーリングも日帰りできる高校じゃないとダメだなぁ…。
あきちゃん
あきちゃん
自分の状況を考えて無理なく通える通信制高校を選ぶのが一番よね!
スクーリングと通信制高校の関係

比較的歴史のある学校法人で広い地域で生徒募集が可能な広域通信制高校の場合は、全国各地にスクーリング会場を設けている場合が多いですが、興味のある高校がどのような歴史があり、学校法人なのか株式会社なのか等も含めて調べてみるのも良いでしょう。

スクーリングと通信制高校の関係

通信制高校は、2000年代はじめの構造改革特区法によって、株式会社立の通信制高校が増えました。これが全国各地に生徒がいる通信制高校でもスクーリングを本校所在地で実施しなければならない要因でもあります。新しい通信制高校は地方にある事が多いのですが、これは、少子化によって廃校になった地方の学校を再利用しているためです。高校設立のためには市区町村の協力が不可欠ですが、スクーリング参加のために、毎年全国から訪れる生徒は、地方の市区町村にとって、宿泊による地元経済の活性化や地元住民との交流、もっと言えば将来の移住候補ともなり得るため、人口減少に歯止めがかからない地方にとっては地域活性化の一端を担っているのです。

単位認定試験
通信制高校の単位修得方法

ほとんどの通信制高校の場合、単位認定試験はスクーリングと合わせて実施されています。試験の出題範囲はレポートの範囲内から出るケースが多く、スクーリングまでの間に、これまで学習したレポートの復習をする事が試験合格への近道です。通信制高校によって異なりますが、試験で30点以上又は50点以上で単位認定されるケースが多いようです。

なつちゃん
なつちゃん
単位認定試験って科目ごとにやるんでしょ?数学苦手だから無理っぽいんですけど…。
あきちゃん
あきちゃん
もし試験で落としても追試があるし、ほとんどの通信制高校でも試験対策やってくれると思うよ~。単位制の通信制高校なら修得した単位は無くなる事ないし、もし苦手な科目の単位落としても翌年にそれだけ再履修すればいいからきっと大丈夫よ!
公立の通信制高校と私立の通信制高校

通信制高校は毎日通う必要がないため、住んでいる地域に本校がなくても広い地域で生徒募集を行っております。そのため、私立の通信制高校に目が行きがちですが、公立の通信制高校もあります。公立の場合、高校無償化の恩恵を受ける事ができるため学費は限りなく安く済みます。

公立の通信制高校

公立の通信制高校は学費が安いメリットがありますが、卒業率が悪く、3年間在籍した場合の卒業率は、平均して5割程度と言われています。通学はスクーリング時のみの場合が多く、レポートなどの学習スケジュールは全て生徒の自己管理のもと進めなければいけないのが要因です。

私立の通信制高校

私立の通信制高校は、本校とは別に、地域ごとに学習センターと呼ばれる通学できる施設を設けている場合がほとんどです。この学習センターは学校直営の場合もあれば、サポート校と呼ばれる民間に委託された学習センターの場合もあります。どちらの場合も、コースにより生徒が週1日~5日まで通学し、学習スケジュールを管理してもらいながら無理なくレポート課題などを進める事ができるため、3年間在籍した場合の卒業率は9割以上と言われています。サポート校の利用を含めた学費は、通信制高校によって異なりますが、年間で約30万円~約120万円まで様々です。

まとめ

不登校やひきこもりが原因で通信制高校へ入学または転校する場合、親の意思も大切かもしれませんが、子供本人の意思を尊重するべきです。サポート校に通学する場合も、本人と保護者が一緒に見学し先生との相性、学習センターの雰囲気をしっかり見て「本人が行きたいと思った高校」「本人がここなら通えそう」と直感的に思った高校が良いでしょう。保護者は本人の意向も確認しながら、子供の性格なども考慮しスクーリングの場所なども含めて助言してあげましょう。

ココロスイッチでは、各地(千葉市蘇我大田区蒲田新宿区大久保など)で不登校や引きこもりの相談会を毎月開催しています。参加費は無料ですので、不登校の相談、引きこもりの相談、フリースクールの選び方や、通信制高校への進学相談、子育ての悩みなど不登校や引きこもりの子を持つ保護者の方はぜひご参加下さい。